何故かインドとの関係の深いイギリス在住のピアニスト「森麻衣子さん」です。 イギリスからは遥かに遠いのですが、イギリス植民地時代の雰囲気を色濃く残しているインド、その中でも特に独特の雰囲気のムンバイはイギリスに長く暮らしている森さんには親近感があるのでしょうか。それともインドの生活が「性」にあっているのでしょうか。既に3回目の訪印を されその度に何回かの演奏会を開催されています。 私がムンバイ室内管弦楽団(BCO)を始めて聞いたのがムンバイ出張中の2004年8月で、その11月に「森麻衣子」さんがBCOのコンサートに登場されました。残念ながら森さんの演奏は聞くことが出来ませんでした。 私がインドのムンバイに赴任してBCOのジニー先生にお願いしてレッスンを受けるようになってから、ジニー先生から「素晴らしいPianist Maiko」のお話を聞くことになりました。「森さん」のお陰で日本人演奏家とのムンバイ室内オーケストラとの繋がりができていました。森さんのブログやBCOのホームページ、BCOのジニー先生から聞いた話などを思い出してページにまとめてみました。
2004年秋の「森麻衣子さん」の最初のBCOコンサートでは、ショパンのピアノ協奏曲第一番
で共演されました。この演奏会の指揮者は「ヴィシュワナータ・スバーラマンさん」。南インドからアメリカに渡ったインド人医師の息子さんで現在テキサス・ヒューストンの「オペラヴィスタ」で指揮者として活躍されています。
Bombay Chamber Orchestra Concert
on 7th November 2004
私は2004年の9月からムンバイに赴任し、2005年からボンベイ室内オーケストラの代表でありバイオリン奏者である「ジニー先生」にレッスンをしていただ くことになりました。レッスンの合間にジニー先生は「日本人のマイコというピアニストを知っているか。素晴らしいピアニストなおですよ」という話を聞かせてくれました。 そのピアニストが2004年11月のBCOコンサートで共演された「森麻衣子さん」のことだったのです。 私はホームページを検索して「MAIKO」という日本人ピアニストがイギリスにお住いの 「森麻衣子さん」だろうと見当を付けていました。というのもイギリスに住んでいなければ一人でひょこひょこインドに来れるはずはありませんし、ジニー先生やBCOのメンバーと上手にコミュニケーションを 取るほど英語を流暢に操りことはできないだろうと考えていました。 BCOの夏の演奏会が近づいてきた頃に、ネパールのギター奏者をゲストに向かえて「アランフェス協奏曲」を演奏しようと練習していたところ、 巨大なモンスーン接近でソリストが来れなくなったこともありました。そしてジニー先生は是非もう一度「マイコ」を呼びたいという 話をされました。しかしモンスーン接近の合間の演奏会だったのでBCOのバイオリンメンバーによるコンチェルトになったのでした。 インドのムンバイにソリストを呼ぶことは大変なことなのです。ソリストが宿泊する宿はムンバイのTATAシアターに演奏者用のホテルがありますが 、問題は居住国とムンバイ間の往復の飛行機代です。ジニー先生はソリストの狙いを付けると、ソリストの母国の大使館・領事館に支援要請の交渉を始めます。更にその国の航空会社と直談判してインドまでの無料航空チケットの寄付を粘り強く交渉します 。当時は残念ながら日本の航空会社はムンバイには乗り入れてはいなくて交渉する事務所さえありませんでした。
ジニー先生の「森麻衣子さん」をもう一度ムンバイに招聘したいという
の強い希望はタイミング良く実現しました。というのもインド経済の急成長と共に日本とインドの経済交流が急激に盛りあがり、2007年が「インドにおける日本年」("Japan India 2007")とされ、インド各地で日本文化の紹介・日印文化交流が行われました。ニューデリーの日本大使館、国際交流基金、ムンバイ日本総領事館の方々が非常に
クラシック音楽に理解があり、かつ大変親切な方ばかりであったことから「森麻衣子さん」をイギリスから招聘するための補助が得られることとなりました。そして2007年9月「森麻衣子」さんの3度目のインド訪問が実現し、ムンバイ(2回)とプネで合計3回の演奏をされました。その中で森さんにとっては二回目のBCOのコンサートが実現したのでした。2007年9月のインド演奏旅行のことは「森さん」のブログに詳しく記載されています。
この時の3回の演奏会は以下のようなものでした。
因みに、2007年9月2日に「森さん」が招待された「プネ音楽愛好会」ですが、ムンバイから100Km程離れた「プネ市」にあります。ムンバイとならんで日本企業の進出の多い町ですが、ここの音楽協会は1946年創立という非常に古い歴史を持っています。ホームページによると招聘したソリストの中でピアニストだけを挙げても「ウ
ィルヘルム・ケンプ、リリー・クラウス、パドラ・スコラ等」の錚々たる顔ぶれです。 |