マトゥーラ美術館(Mathura Museum)


マツーラはニューデリーから約150Km南東、タージマハールで有名なアグラの 50Km少し手前にあります。幹線国道から少し外れているので素通りしがちですが、ここの博物館の展示物は非常に素晴らしいので時間を作って見て おく価値は十分あります。

マツーラはヒンズー教・仏教・ジャイナ教の3つの宗教の聖地なのです。即ち、クリシュナの生誕地としてヒンズー教の聖地であり、仏陀が訪れた場所として仏教の聖地であり、「ティルタンカラ」(最高位に達したジャイナ教聖人) に達した7人目の「スパルスバーナルハ」の生誕地としてジャイナ教の聖地なのです。

従ってヒンズー教、ジャイナ教、仏教の宗教美術を見ることが出来るのです(インドではそういう地域が多いのですがマツーラ美術の水準は非常に高いと思います)。マツーラ美術は紀元前3世紀まで遡ることができるとのことですがマツーラの独特の様式は西暦1世紀から6世紀位の間に作られたものだそうです。 独特の赤い岩から掘り出される彫刻は時代によって様々な掘り方があるようです。時代の差・宗教の差を見分けることができれば大変面白いでしょう。



 

カニシカ王の像
クシャーナ朝全盛期のカニシカ王の像です。クシャーナ王朝は西暦1世紀以降インド北部に強大な王朝を作り上げました。 カニシカ王の時代にクシャーナ王朝は最盛期を迎えます。カニシカ王はマツーラに冬の離宮をつくり仏教を篤く保護したのでした。この像はマツーラ博物館の入り口近くに堂々と陳列されています。



 

仏陀立像
非常に端正な仏陀像です。厳しさというよりは優しさと気品が感じられます。



 

仏陀頭部

仏陀の頭部です。この仏陀の顔も非常に優しくて和やかな表情です。 苦行の末に悟りを開いた仏陀というより、全ての人々に優しく接する仏陀を表しているようです。



 

仏陀坐像
非常に丹精で西洋的な風貌です。この像は素晴らしい出来です。日本なら国宝級の素晴らしさだと思います。



 

クベラ神
ヒンズー教のクべラ神です。「富の神」とのことです。日本の渡って12神将の「クビラ大将」となったものと思われます。ユーモラスな顔です。ヒンズー教においてはシバ・ビシュヌに2大宗派に収斂 していく前の時代のようです。



 

ヒンドゥーの女神
ヒンドゥー教の女神だと思います。非常に豊かな肉体をしています。ヒンドゥー教においては、「シャクティ」と呼ばれる「宇宙の力」は女性にあるとされますが、そのシャクティが満ち溢れているような感じがします。



 

ヒンズー神
たぶんラクシュミー神だと思います。可愛らしい・少女のような顔をしています。



 

ジャイナ教の神
ジャイナ教の宗派の中には偶像崇拝を認めるものと偶像崇拝を認めないものがあります。さらに偶像崇拝を認める宗派の中には「ディガンバー派」と「スベタンバー派」があります。この像は「ディガンバー派」の像です。一切の所有物を否定しています。全くの裸。鍛えられた身体は非常に力強いです。この派の宗教家は 今でも真っ裸で生活しているのです。



 

ジャイナ教の神(?)
ジャイナ教の神だと思います。しかし良く見ると「誕生仏」の」ようにも見えます。マトゥーラ博物館は現在建物改修中なので、陳列物が無造作に通路に置かれています。説明もありません。時代考証なども十分なされてないみたいです。



 

博物館内部
博物館内部の通路はこんな感じで陳列物が置かれています。陳列室は改修中です。

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